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Tuesday, January 03, 2017

一番最初に読んだ小説

旅行をしながら、なぜか昔のことがつらつら思い出されているので、自分のための記録。

子どもの頃から、私の周りにはいろんな大人がいました。
教会つながりや、海外から来る親戚もそうですが、父親の仕事関係のお友達も。
子どもの頃ものすごく可愛がってもらっていた日本人のご夫婦がいて、おじさん、おばさん、とよくなついていました。私の周りの大人はやっぱり中国人が多くて、ちゃんと日本語で話を聞いてくれる、話してくれる大人っていうのは、学校の先生以外では全然いなくて、そういう意味でも大好きでした。

おじさんは、酔っ払うとよく笑い、「キャラメルの皮一枚でお尻を拭く方法〜!」と言い出すのですが、いつまでたっても答えを教えてくれず、小学生の私は、いつかトイレットペーパーがない時に困らないようにと思って、会うたびに答えを教えてとお願いし続けていました。
おばさんは、何をしている人だったのかよくわからないのですが、お家に機織り機がありました。あの頃、東京のマンションの一室に機織り機があるなんて、私にとってかっこいい人のトップ3には絶対に入っていました。機織りように綺麗な色で染めてある糸の束が、カゴに入っていたのを覚えています。

二人には子供がいなくて、私と弟を読んで一緒にご飯を作らせてくれたりしていました。大人の人にご飯に招待される、一緒に作らせてくれる。ものすごく一人前扱いしてもらっているみたいで、私はかなりコーフンしていたのを覚えています。
ちなみにその日のご飯はコロッケで、今でも覚えているのは、「右手で卵液をつけたら、パン粉は左手で付けないと、手がコロッケになっちゃうよ」ということです。手がコロッケになっちゃったら、油で揚げられちゃうような気がして、結構気をつけてやってました。

小学生低学年?10歳くらいだったかと思うのですが、家族で旅行をした時に、この素敵なおばさんが一緒に参加しました。日本国内だったのか、台湾旅行だったのか、よく覚えていないのですが、私は長い移動と静かな旅館での時間にすっかり退屈してしまっていたのです。おばさんはずっと文庫本を読んでいます。上下巻のある本だったらしく、上を読み終わった後、「読む?」とかしてくれました。普通の大人が読む、何の絵もない、小さな字の文庫本です。退屈に任せて、わからない部分は飛ばしてとにかくどんどん読みました。それが檀一雄の「家宅の人」でした。子供が読むには全く不適切な、不倫あり、愛憎あり、性描写ありの、ショックなほどオトナな本でした。全然飽きずにずっと読んでる私に「わかるの?面白いの?」と面白がって、周りのオトナが声をかけてきてたのを覚えています。おばさんが下巻を読むのより早く私が読み終わってしまって、うずうずを続きを待っていた記憶があります。

子どもの時から本は大好きですが、小説の世界の面白さに目覚めたのはここだったように思います。今でも文庫本が大好き。ハードカバーよりも、カバンに入って持ち歩ける文庫本に愛着があります。

父の仕事関係のお友達は、お仕事が終わると(それは、何か契約が終わったりとか、関係が悪くなったりとか、とにかく何か不都合なことがあると)ぱったりと来なくなります。どんなに仲良くなっても、突然付き合いがなくなる。そして、それは、小さい私には、変えることのできないことでした。この大好きなおじさんおばさんともこの親密の時が過ぎると、「何か私にはわからないオトナの理由」で付き合いがなくなりました。でも、私の中には、機織りが素敵だなとか、コロッケの手とか、文庫本への熱烈な愛情とかが、しっかり残っているんです。

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